Twit Sideのサービス提供と開発を一時休止します(そして振り返り…)

Twitter(@twit_side)では告知しておりますが、TwitterのAPI利用規約変更と有料化に伴って、Twit SideのAPIキーも使用できなくなりました。
そのため、Twit Sideは2023年4月7日をもって利用できなくなっております。
長期間にわたりご利用を頂きありがとうございました。

今後、Twitter社が方針を変える可能性もあるかと思いますので、いったん「一時休止」として表現しております。
早期に愚かな方針転換だったと気づき、以前のように開かれたプラットフォームに戻ることを、期待せずに待っております。

Twit Side開発の軌跡

さてせっかくですのでTwit Sideの開発について、振り返っていきたいと思います。

Twit Sideリリース前

ブログの過去ログを見返しますと、Twit Sideは2012年5月から開発を行っていたようです。

リリース当初のUI

実際にはブログに公開する前から開発をしていたような気がします。
開発当初はこんな見た目でした。

Twit Sideの開発は、Firefox Aurora(Firefoxのα版、現在はDeveloper Editionという名称になった)を利用して行っていました。その点は現在も同様です。
2012年5月頃はFirefox Aurora 14ということで、執筆現在のFirefox Developer Edition 112と比べるとかなり昔のバージョンであることを感じますね。

Firefox昔話

ここですこしFirefoxについての昔話をしてみます。

私はブラウザを、Netscape Navigator→Mozilla Firefoxへと切り替えてから現在に至るまでFirefoxを利用しています。
Netscapeが終了したタイミングから推測するに、Firefox 2.0系から利用しているのではないかと思います。

Firefoxは当初、新しいメジャーバージョンのリリースに年単位の期間を有しており、マイナーバージョンを数ヶ月単位でアップデートしていました。
通常どのアプリケーションでも、メジャーバージョンのリリースで新しい機能を取り込み、マイナーバージョンでは機能改善やバグ修正などがメインとなっています。
しかしWebの世界の技術進化は非常に早く、年単位のリリースでは進化に追いつけなくなってきました。

また後から登場したGoogle Chromeは、短期間で機能の取り込みを行いバージョンをアップデートしていくスタイルを取っており、Firefoxのバージョンをあっという間に追い越してしまいます。
バージョン番号がFirefoxよりもChromeの方が圧倒的に大きくなってしまうことで、FirefoxがChromeより劣っていると思われてしまうという弊害も考えられました。

そこでFirefoxはChromeに倣い、バージョン5から1.5ヶ月という短期間でメジャーバージョンをアップデートしていく形(ラピッドリリース)へ切り替えたわけです。
その慣例は多少の周期変動があったものの今でも継続しています。

Twit Side初公開

Twit Sideを一般の方へ初めて公開したのは、最初の記事を公開してから約2ヶ月後の、2012年7月のことでした。
バージョンは0.2です。

当時はMozillaのアドオンページへ掲載しておらず、ブログ上での公開のみとしていました。

その後のTwit Sideの開発

その後Twitterクライアントとして必要な機能を順調に追加していき、機能の追加の度に0.XのXを大きくしていきました。

2012年11月に公開したTwit Side 0.5.0では、今では使用できなくなったユーザストリームというAPIに対応します。
ユーザストリームは、タイムラインを一度に○ツイート取得するのではなく、Twitterと接続を維持して更新がある度にサーバから更新データが送られてくる仕組みです。
これを利用できていたころは、ホームタイムラインでリアルタイムなツイート更新が実現できていました。

2013年7月リリースのTwit Side 0.6.0では、Twit Sideの自動更新機能を実装しています。
この時点でもまだMozillaのアドオンページへ掲載していませんでしたが、Twit Sideのサーバ上に更新情報を掲載してアップデートする仕組みを実装しています。
この仕組み自体はFirefoxアドオンの標準的な機能で実現しています。

2013年12月にはようやくMozillaのアドオンページ(当時は、Add-ons for Firefox=AMOと呼ばれていました)にTwit Sideを掲載します。

2014年7月リリースのTwit Side 0.7.0では、Twit Sideをサイドバー以外の場所に表示する機能を実装しました。
実はこの頃のFirefoxアドオンはXULオーバーレイ型と呼ばれるもので、XULというFirefoxのUIを直接弄ることが可能でした。
標準で提供されているFirefoxのサイドバーを使うのをやめ、直接XULを弄ることでサイドバー的なUIを実装しつつ、追加でボトム表示を実装しました。
また、このタイミングで複数カラムを並べて表示できるようになりました。

ボトム表示

この頃は非常に自由度が高いアドオン製作が可能で、優れた自由な発想のアドオンが多く存在した時期です。

2015年5月に公開したTwit Side 0.7.3では、bootstrap型拡張機能(再起動不要な拡張機能)に切り替えました。
XUL(FirefoxのUI)を書き換えるアドオンでありながら、UIの書き換えをアドオンのインストール時などのタイミングで行う仕組みを実装することで、アドオンのインストールや更新のタイミングで、Firefoxの再起動が不要になりました。

bootstrap型拡張機能の終焉とWebExtensionsへの切り替え

2017年3月に公開したTwit Side 0.8.0は、bootstrap型拡張機能の最後のリリースバージョンになります。
当時のFirefoxバージョンは52でした。

Firefoxは、2015年頃からWebExtensionsと呼ばれる拡張機能への移行を表明しており、このWebExtensionsというアドオン形式にすることでXUL(FirefoxのUI)へのアクセスができなくなるなど、アドオン開発の自由度が大幅に低下するものでした。
当面はbootstrap型拡張機能とWebExtensionsが併用できることもあり、多くの既存の開発者はbootstrap型拡張機能の開発をしていたと記憶しています。

かくなる私もTwit Side 0.8.0をリリースするまでbootstrap型の拡張機能で開発を続けてきたわけですが、2017年11月のFirefox 57(このバージョンはFirefox Quantumと呼ばれました)で完全にWebExtensionsに移行することになってしまい、対応について検討をしていることをTwit Side 0.8.0公開のタイミングで表明しています。

2017年6月には、WebExtensionsへの対応を正式に表明し開発を進めていることをお知らせしています。

その後、2017年9月に公開したTwit Side 0.9.1でWebExtensionsに対応しました。
合わせてTwit Side for WebExtensionsという名称になりました。

これまでのものからソースコードを大幅に書き換えていることもあり対応に時間が掛かってしまいましたね。
当時のFirefoxバージョンは55でしたので、Firefox 57には間に合った格好です。

bootstrap型アドオンで実装していたボトム表示は、WebExtensionsになったタイミングでFirefoxのサイドバーに収まる形で廃止されました。
個人的にはボトム表示をかなり活用していたので一番ショックだった点です。

この頃Firefoxは高速化のためにマルチプロセス化を進めており、それがWebExtensionsとの相性が悪くバグが多く存在していました。
これもFirefox 57の頃には概ね改善していたように思います。

WebExtensions初期のUI

2018年8月に公開したTwit Side 0.9.4では、Twitter APIのユーザストリームが廃止されたことに対応した更新を行いました。
ユーザストリームが廃止されたことは、Twit Sideに限らず多くのサードパーティクライアント利用者が嘆いていたことを覚えています。

Twit Side 2の登場

2019年5月には、Twit Side 2という名称に変更し、バージョン1.0.0βを公開しました。
バージョンが1.0.0になったということは正式なバージョンとしてリリースされたことを意味します。

WebExtensionsに切り替えたTwit Side 0.9.1では既存のソースコードを流用しつつ何とか対応させたのですが、色々と不具合も多かったため、このタイミングでかなりソースコードを整理しました。
既存の機能でも気になっていた箇所の修正や、新しい機能の実装を多く行っています。

2019年8月にはβを外したTwit Side 2 ver1.0.0を公開しました。

2020年11月に公開したTwit Side 2 ver1.1.0では、デザインをやり直して今の見た目になりました。
Bootstrap(上で話したbootstrap型拡張機能とは別のものです)と呼ばれるフレームワークを利用して、統一的なUI/UXを実現しました。
OSのダークテーマにも対応し、ブラックテーマに自動的に切り替わるようになりました。

bootstrapを用いた統一的なデザイン

2022年6月に公開したTwit Side 2 ver1.1.2が最後のリリースバージョンです。
ver1.0.0になって基本的な機能は満足がいく状態だったこともあり、前回のver1.1.0から1年半ほど経ってのリリースでした。

実は、皆様へ公開していないですがver1.1.3も制作中でした。
Twitter利用規約の変更や有料化話もあって本格的な開発は一時休止していましたが、このまま一旦終了することになりそうです。

振り返ってみて

こうやって振り返ってみると、Twit Sideの開発はどちらかというとFirefoxの仕様変更に振り回されていた印象ですが、最後の最後にTwitterの仕様変更にとどめを刺されてしまいましたね。
10年超にわたって開発を続けてきた訳ですが、この間、Web界隈の技術についてもそれなりに詳しくなりましたし、楽しく開発ができたと思っています。
今後も他のアドオンの更新や、新たなアプリの開発も続けて行きたい所存です。

最後に、改めてご利用いただきありがとうございましたPEKO(!?!?)

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